女王の唇と日合の酒

「ちょっと、あんたの携帯さっきからずっと鳴ってるんだけどなんでよ」「え、あー…今何時」「十二時少し過ぎたところ」「ああ、出なくていいよそれ」「時間と何が関係あるの、うるさいんだけどコレ」「今日五月二十七日だろ」「そうだけど…ってああ、本当だ。出なくていいわね」「だろ」

「ねえ、りんごしつこすぎない、何考えてんの」「俺が知るかよ」「もう出たら。あたしそろそろ寝たい。疲れた」「今晩は寝かせねー」「死ねよ」「はいはい、出ますよーっと、」『あ、未完。なにやってんだよ早く出ろよー』「こんな夜中にうるせえんだよ」『早く出ないお前が悪い』「はいはい。椎名林檎十周年おめでとさーん」『わかってんじゃん』「そりゃあここ最近あんだけ騒がれればな」『うわあ騒いだ甲斐があったってなもんだ』「じゃあもういいだろ。おやす、」『ちょっと待て。今からカラオケ行かないか』「はあ」「…ちょっとりんご。もう十二時過ぎてんのよ。あんた何考えてんの。私たちもう寝るの」『え、なに柴香楽も居たわけ』「とーにーかーく、あたしたちもう寝ますから」『えー、行こうよカラオケ。お前の歌うやっつけ仕事聴きたいよー』「どうせあんた歌うんでしょ」「とにかくりんご。俺ら眠いからもう寝るから」『…年寄り夫婦』「「お前今なんつった」」『この若年寄どもが。わかったよ俺は俺で俺に似合った若い同年代の人たちとカラオケ行ってくるよこの老け顔ー』「…りんご、待ち合わせどこ」『え』「待ち合わせ場所はどこなのって聞いてるのよ」「え、行くのかよ」『駅前に車とめて待ってるけど』「一時間で行くわ」「俺行きたくねえよ」『JK居るぞJK』「一時間後な。了解」