坂尾さんと清水の場合

坂尾さん→淡白
清水→わあわあ

「あっ坂尾さん坂尾さん、ダブルでトリプル!」「なにがだ」「サーティーワンだよサーティーワン!」「……ああ、まず日本語を話せ」「通じればいいだろ。食べたい」「そうか」「え、ちょっと買ってって言ってんだけど」「……」「嫌な顔しすぎでしょ」「高いし、多い。こんなに食べるのか」「食えるよ。一段こんなもんでしょ、これが三つで、こんなもん。うん。全然いける」「理解に苦しむ。二人で三段だ」「けち!」「アイス如きにこんな値段払えるか」「てことは一人一段と半分? すっくねー!」「いやなら買わない」「あーいいよ、買ってくれるだけでも珍しいし。じゃあおれブルーベリーパンナコッタとキャラメルリボン」「片方だ」「子供に譲れよ!」「子供? いくつだ」「ご存知の通り二十三ですが」「なら一段好きな味を食えれば十分だろ」「いや待てあんたがなにを食べるかによる。あんたがわけてくれる味がおれも好きなやつならいいよ」「……ラムレーズンと大納言あずき」「素晴らしいまでに両方まったく興味がない」「じゃあ諦めて一段だけ食べるんだな」「いややっぱりおかしいだろ、おかしいよ。子供じゃなくたって普通年下に譲るべき」「金を出すのは俺だ」「五百円程度でけちけちすんなよ。それなりに給料貰ってるくせに」「ヒモの分際で」「ペットですう」「ペットはアイスなんてねだらん」「飯を作ってくれるペットもいないけどね」「ペットじゃないんじゃねえか」「飯も作れるペットってこと」「ペットは主人に盛らない」「あんたもういい歳だから寝ないと昼間もたないもんね」「どこぞの誰かと違って働いているからな」「まあ、あれは散歩みたいなもんでしょ。ねえ」「スモールのカップでラムレーズンと抹茶とキャラメルリボン」「おい」